日本のエアラインにとっての最大の課題は、@高いコストをいかに削減するか、A新しい時代に対応するマーケティングの開発、の2点だ。
ユナイテッド航空は盛んに日本企業のコスト競争力が弱いことを突いてくる。
「有効トン・キ口あたりの運航コストは、ユナイテッドが妬セントなのに、Jは師セントもかかっている(兜年)。
日米の輸送実績に開きが出るのは、航空協定が不平等なのではなくて、コストの差だ」との主張を繰り返す。
対するJは「その数値の差は円高要因によるところが大きい」と反論するが、それでもJ試算の有効トン・キロあたりの単位コスト(妬年)は、価・3円かかっており、UAの蛇.5セントU姐・9円(1ドル−15円で換算。
円が最高値を記録した妬年の平均為替の別円皿銭で換算すると仙円)と比較しても、別%の違いがあり、まだコストの差は歴然としている。
しかもこの数値は直接運航費の比較であり、企業全体の合理化はアメリカ企業のほうがはるかに進んでいる。
日本人利用者のいらだちは頂点に達しつつあり、「日本のエアラインでは運賃が安くならないのならば、国内線も外国企業に開放すべきだ」との意見も聞かれるようになった。
アメリカ企業のコスト削減は、航空自由化のなかで猛然と進められた。
合理化による大量のレイオフ、賃金切り下げはおろか、すべての経費の削減が行われた。
だが、アメリカ企業の凄さは経費の節けではなく、経営戦略、マーケティング手法にも大胆なメスを入れ、企業全体を革新してしまつ具体的には、@「乗り換え用のハブ空港を中心に路線網を構成」するハブ.アンド・スポーク方式の採用によって、少ない機材で最大のネットワークを確保できる効率的な輸送システムの確立、A高度なコンピューター予約システム(CRS)の開発、BCRSを経営戦略にまで活用した収支管理システムの導入、C顧客優遇制度(FFP)の開発、導入などだ。
CRSには予約情報だけでなく、会社の基礎的なデータが豊富に入力されているため、いちいち広報に問い合わせなくとも、端末のキーを叩くことによって、社員の誰でもが社外からの問い合わせに即答できる。
新しい技法を開発することによって、航空業の当初から続いてきた「乗客へのマン・ツー・マン」を基本にした人手によるサービスを、情報化時代にふさわしい「システム」に変革し、乗客の満足度を上げた。
まさに旅客輸送の革命を行なったのである。
このような劇的な改革、リエンジニアリングによって、もともと賃金水準の高い国でありながら、サービス産業としてのコスト競争力を強化できた。
労働集約的要素の強かったサービス産業を先進国型に転換することに成功した。
確かに、格安航空券市場でのUAの運賃は一番安いので、人件費が安く、サービスの評判がよい航空会社と競争しても、総合力では優位な闘いを展開している。
また、かっては英国病に躍っていた英国航空もJと同じ切年に民営化し、企業のリストラ、体質改善を断行するとともに、安値競争のなかでも利益を上げられるマーケティング戦略を築きあげた(拙著『J再浮上』C書院刊を参照)。
コスト競争は単に「既存のサービスをいかに安くするか」の段階から、企業のリエンジニアリングによって「安いコストで高い満足度」を実現する新たな国 、さらに、日本のエアラインはマーケティング戦略も中途半端である。
安い労働力を大量に使って「きめ細かい、行き届いたサービス」をモットーとする〃後進国型〃航空会社から〃先進国型″への転換ができていないのだ。
そのため、自信のある「きめの細かいサービス」(現在の日本の人件費では高コスト)も捨てられず、一方アメリカのマーケティング戦略のCRS、FFPも導入するという中途半端な状態になってしまっている。
しかも、コストを下げられない日本のエアラインは、日本関係の運賃を安くしないように画策し、乗客の信頼を失っている。
自国のエアラインが、自国の乗客の利益に反することをしているのだ。
それでも、Jの乗客の日本人比率はまだ8割を占め、Jは「日本人の好み、日本人の味」を追い続けている。
英国航空が自国の乗客の比率を3割にして〃インターナショナルな″エアラインに脱皮したのとは対照的だ。
それに気づいた〃インターナショナルな〃乗客は進んだサービスの外国のエアラインに乗り換えている。
日本のエアラインも、規制に守られてきた日本市場で稼ぐばかりでなく、自由化、国際化のなかで日本人のためになる輸送機関になってもらいたい。
舶年4月から改正旅行業法がスタートした。
同法の改正はM年ぶりで、「利用者の保護規定の新設に伴って、旅行会社の責任が重くなる」と旅行業界は戦々恐々としている。
新たに設けられた〃旅程保証制度″により、旅程や宿泊施設、輸送機関の変更に対して補償金が支払われるようになったが、相変わらず旅行会社の旅程変更への認識は甘い。
日本旅行業協会(JATA)が開年度に受け付けた旅行の苦情、相談件数は1534件であったが、そのうちの別%は旅行内容の変更であった。
この割合は近年も変わっていないが、実際の責任の所在は、ツアーを販売した旅行会社なのか、企画した主催会社なのか、航空会社やホテルなのか、などが暖昧できちんとした補償がなされていなかった。
改正旅行業法では、「旅行業者には当初の契約通りスケジュールを円滑に進める責任がある」との考え方に立ち、〃おわび料″の支払いを義務づけている。
〃おわび料″の旅行代金に対する支払い利率は、・旅行開始日、終了日の変更3%。
・行き先の観光地、施設など旅行目的地の変更2%。
・運送機関の等級や設備の低い料金のものへの変更2%。
・運送機関の種類、会社の変更2%。
・宿泊機関の変更2%。
・宿泊機関の客室の種類、設備、景観の変更2%。
となっている。
・ツァー・タイトルにかかわる変更5%。
(利率は旅行開始後に変更のケース。
開始前はその2分の1)これは、楽しみにしている利用者の期待を踏みにじらないようにするためと、「旅行に変更はつきもの」という業界の安易な風潮に歯止めをかけるためであった。
だが、改正旅行業法施行後、旅行業界の体質は改善されたのだろうか。
@開催中止が表示されない店頭に用意されているパンフレットからツアーを選んでも、「開催中止」がある。
確かに小さい字で「募集人員に満たない場合にはツアーを中止する場合があります」との断り書きはあるものの、旅行会社の店頭にも掲示はなく、係員が予約システムの端末器を叩いてからでないと「開催中止」が分からないのは不親切だ。
一般の商品では在庫がなければ見本は引き揚げるか、その旨を表示するのが常識である。
筆者の場合には、2日かけて選んだ〃人気ツアー″を申し込みに行った超一流旅行会社A社のB支店で、キーボードの画面を見た担当者から、いとも簡単に「この日程は募集人員がゼロなので中止になりました」と断られた。
そこで同様のツアーを募集していた一流旅行会社C社へ行ってみると、やはり「中止」とのこと。
念のため、一流旅行会社A社のD支店で理由を聞くと、本社に電話をして「現地イベントの事情でこの日程のホテルが一部押さえられなかったため」との理由が判明した。
事情が分かれば、同様のツアーをいくら探しても意味がない。
たまたま別の店頭で知り合った主婦は、「家族会議で決めたツアーが中止になっていて……」と、夫から預かってきたという小切手を握りしめて途方に暮れていた。
旅行会社は売るのに懸命で配布したパンフレットのフォローをしていない。
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